こんにちは。kamaxです。
今回のテーマは、
「お客様をどれだけフォローし、
どれだけ寄り添えるか?」
ということです。
これは、業種業界に限ったことでは
ありませんが、
こと「中古車」に関しては、
特に大切なテーマです。
やはり車というのは、
家の次に高い商品。
お客様にとっても、何年かに
一度しか買えない高い物。
その上「中古車」は、
一度誰かが使って、
販売店が再び扱った二次商品。
いつ何時どんなトラブルが
起きるか分かりません。
高いのに不確かな商品。
「中古車」という物は、
そういった商品です。
まず、それが前提です。
私も、カーショップ時代は、
色々ありました。
こちらは関西の中心街ですが、
わざわざ日本海の方面から
来て頂いて、ご購入された
お客様がいました。
しかし、納車の帰り、後少しで
家に着くという場所で、
車が止まりました。
お客様は、今晩はここへ車を置いて、
翌日近所の整備工場へ引き取りに
来てもらおうかと言われました。
しかし私は、
「今から引き取りにお伺いします」
とお客様に言いました、、、
本日納車したばかりですし、
多少年式の古い車でしたが、
店のオリジナルのカスタムカー
だったので、ちょっと高い車でした。
それをお客様は、雑誌を見て気に入って、
わざわざ本州の反対側から
買いに来て頂いたのです。
更に納車の帰りに、トラブルで
車が止まるという始末。
デモカーでもあったので、店の恥です…。
ですので、「引き取りに行く」
ことは当然でした。
何の迷いもありません。
店を閉めた午後8時に、電話が
ありましたので、
今からどれだけ急いで
引き取りに行っても、
現地到着は午後11時を過ぎます。
ですが、お客様に
「遅くなりますが必ず引き取りに
お伺いします」と言って、
代車を積んで積載車で現地に
向かいました。
予定通り、現地に着いたのが午後11時半。
「申し訳ありません、遅くなりました。
納車当日にご迷惑をおかけしました」
「よく来てくれたね、〇〇さん。
こんな遠い所まで」
「いえいえ、この車は当社のデモカーですし、
お客様がこんなに遠い所から買いに来て
頂いたんだと、私は感動しました。
当社のオリジナルカーである以上、
引き取りに来るのは当然です。
それで、これは代車です」
「えっ、こんな遠い場所に
代車まで貸してくれるの?」
「当社のお客様である以上、当然です。
明日からの足にもお困りでしょうし。
それで〇〇さん、この車の修理後の納車も、
私がお伺いします。ここから
ご自宅は近いですよね?」
「えっ、代車貸してくれたんやから、
俺が取りに行くよ!」
「いえ、デモカーを買って頂いた〇〇さんは
当社でも特別なお客様です。
納車当日のトラブルは当社の恥です。
きっちり原因を調べて、修理し、
納車に伺います。
もうお客様に交通費を出してもらう
のも申し訳ない」
「ホンマに!?有難う。さすが専門店。
遠いけど、お宅でこの車を買って、
正解やったわ。ホンで〇〇さん、
晩飯食うた?」
「いえ、まだですけど…」
「こんな遅いのに、まだ晩飯食うて
ないの?俺に奢らして!そこやけど」
「いえいえ、悪いですよ、
帰りがけどっかで食いますから」
「え~やんか、行こ行こ!」
半ば強引に、お客様に導かれて、
吉野家に行きました。
その晩の牛丼の味は、今でも忘れません。
さて、このデモカーの故障の原因は
何だったのか?
車は平成2年式の、ジムニーです。
距離は80000km超え。
現在はセルモーターは回りますが、
エンジンが一向にかかりません。
翌日、当社のメカニックが、
エンジンを分解して調べました。
なんと、2番目のピストンが
焼け付いていました、、、
しかも、プラグが溶けて、
半分ありません…。
エンジンは全くのどノーマル。
何故こんな事が起こるのか?
当社のメカニックと、メーカーの
メカニックで協議した結果、
「燃料が希薄になり、内燃気室の
異常高温によるプラグの焼け落ち、
ピストンの焼け付きの結果、
エンジンブローする」
というのが原因でした。
この平成2年式のジムニーは、
660cc になって初めての型式。
「1型」です。
現在はありませんが、当時はまだ
燃料噴出がインジェクション形式でも、
数段階のパターンしかありませんでした。
回転数に応じて燃料噴出を制御していたので、
頻繁にレッドゾーン近辺まで引っ張る運転を
した場合、一時的に燃料が希薄になる。
高回転を維持した場合でも、
希薄になりやすい。
この型式は、そういった癖があるのです。
結果、異常高温になりやすい
2番目のピストンのプラグが焼け落ち、
ピストンが焼け付く。
エンジンの回転がロックされ、
エンジンブローとなるのです…。
メーカーのスズキディーラー側も、
こういったトラブルは、
この型のジムニーでは初めてだった様です。
「勉強になりました」と、言われました。
では、原因が分かった所で、修理です。
まずはエンジンのオーバーホール。
焼け付いたので、大きいピストンに
交換する事にしました。
エンジンブロックもそれに合わせて
ボーリング加工。
勘の良い方は気付きましたか?
そう、「ボアアップ」です。
排気量を720ccにボアアップしました。
それに応じて、ヘッドガスケット、
ヘッドカバーも新調しました。
約2週間後、お客様に納車に
お伺いしました。
ボアアップされたエンジンに、
お客様は車のトルクが増え、
速くなったと大変喜ばれました。
私は、エンジンの「ならし運転」の
説明をして、帰りました。
原因を説明したら、
後日「燃調コントローラー」を
買いに来てくれました。
もしかしたら、
お客様の「エンジンの回し過ぎ」
かもしれません。
ですが、はるばる遠方から来て
頂いたお客様が、
高速道路を使って帰られるのは
容易に想像出来ます。
お客様にしても、店のデモカーなので、
古い車であっても、信頼していたはず。
その分高い商品だったので。
要は、どれだけフォローし、
どれだけお客様に寄り添えるか?
結果、私達も経費はかかりましたが、
この型式独特の、
重要なウィークポイントを
発見出来たのです。
しかも、ディーラーも
知らなかった様な……。
私はお客様をフォローし、尽くしたことで、
そんな財産を手に入れました。
会社に戻り、この平成2年式の、
1型のジムニーにお乗りのお客様には、
「燃調コントローラー」をお勧めして、
かなりの確率でご購入頂きました。
やはり、「中古車」という商品は、
こういう事も多々あります。
そこで、販売側が、どれだけ真剣に
お客様をフォロー出来るか?
親身になって寄り添えるか?
だと思うのです。
「売ったらおしまい」ではないのです。
PS . このデモカーのお客様には、後日、
奥様にもジムニーのAT車を
買って頂きました。
夫婦でジムニー2台ですよ!
素敵だと思いませんか?
私のカーセールス史上、
最も良いエピソードです。
〇「今現在SJ~、JA~型式のジムニー
に乗っていて、こんな改造をしようか
悩んでいる」とか、
「実際~のジムニーショップの
部品ってどうなの!?」
といった内容のご質問があれば、
こちらから お気軽にどうぞ。
私の今までのジムニー車歴の中で、
しかも「ジムニー専門店」に
10年弱 勤めていた私から、
あなたのジムニーライフに何か
役立つ情報を 提供させて頂きます。