こんにちは、kamaxです。
全4回のユーザー車検特集、
いかがでしたか?
この4回の記事と、国土交通相の
HPがあれば、ユーザー車検には
行けると思います。
このブログの読者様は、毎日
愛車の事を考えているような
車好きだと思いますので、
是非愛車の車検もご自分で
行ってみましょう。
その車検にちなんで、いくつか
思い出のエピソードがあります。
今回はその内の1つ。
私が車検に行っていた全盛期は、
ある特定の車種ばかりでした。
「スズキ ジムニー」です。
私の車業界の始まりは、
この専門店に勤めるところからでした。
ですので、この車ばかり
毎日車検に行っていました。
年間600台以上。
軽自動車検査協会では、
ちょっとした有名人です。
そんな中でも、思い出深い車が
ありました。
お客様の車ですが、
初期型のジムニーでした。
現車は緑色でした。ボロボロの幌が
被せてありました。
検査も切れていましたので、
積載車に載せて、検査場に
持ち込みました。
スペックで言うと、排気量は360cc、
2気筒2サイクル。20馬力ちょっと。
見た目は非常に小さく、
馬車みたいな車でした。
2サイクルなので、検査コースの中は
真っ白になりました。
毎日顔を会わす検査官に言われました。
「煙たい!公害車持って来るなよ~」
正直、排ガス検査に引っ掛かる
可能性もあるので、並んでいる
間に吹かしておかないと。
その結果、2レーンしかない
検査コースの中が真っ白に
なったのです。私も煙たかった。
いざ、検査コース突入。
サイドスリップ、ブレーキ検査
は一発合格。幸先はよろしい。
次のスピードメーター検査。
なかなか40kmが合いません。
「今何km?もうちょっと後、先?」
「もうちょっと後でボタン押して!」
顔馴染みのよしみで、
通してもらいました。
もうこの時で30年以上前の車。
メーターなんか当てになりません。
メーターの針がフラフラしています…。
しかし、ヘッドライト検査が、
ダメでした。
なんと、ヘッドライトテスターが、
ガシャガシャ動いて、光を拾いません。
それから2回、並び直しました。
私も半ば諦めていました。
「光量が不足してるわ~」
検査官にも言われました。
皆様、ご存知でしょうか?
この時代のヘッドライトは、
「シールドビーム」
なのです。
現在のように、ヘッドライト
ユニットにバルブ球が
入っているのではなく、
ヘッドライト自体が電球に
なっていました。
しかも全面ガラス作り。
この車のヘッドライトをよく見ると、
中の反射フィルムが錆びて剥がれて、
フィラメントの光を十分前に
照射出来ていませんでした。。。
「これ、ヘッドライト変えな
通らんで~」
「マジですか?おじいさんを
いじめるなよ~」
思わず検査官に言いました。
もうライトが暗いのです。
人間で言うと、白内障か
緑内障みたいなもの。
今この場でヘッドライトの交換は
出来ません。
私も、今日中にこの車の車検を
通したい。二度手間は嫌なのです。
検査場は午後4時までです。
人影も少なくなり、チャイムが
なったその時、もう一度だけ
検査コースに並ばせてもらいました。
検査項目はヘッドライトのみ。
もう4回目のチャレンジでした。
検査官の特別な計らいで、停止線より
もう50cm前で検査させて頂きました。
ようやく、ヘッドライトテスターが
光を拾ってくれました。
しかし、左右共に「×」が、、。
ダメもとで、ドライバー片手に
車の前に立ちました。
「ここでライト調整させて下さい、
お願いします!」
「もう~、最後やで!右ライトは
左に80、左ライトは上に40や!」
「こんなもんですか!」
「OK、OKや、それでええわ!」
最後に検査官に甘えまくって、
ようやくこの車の検査が終わりました。
まぁ、検査官にも「おじいさん」の
言葉が響いたんじゃないでしょうか?
違法改造で車検が通らないのとは
違うので。時間もかかって最後の
一台になり、皆さん協力的でした。
コースから出るとき、エンスト
しました・・。
「あれ、エンジンがかからない!?」
フューエルメーターは生きていました。
おそらくガス欠です。
積載車に載せて来たので、
ガソリンは入れませんでした。
「すいません!〇〇さんと、〇〇さん。
ちょっと車押してくれませんか?」
「は?エンジンかからへんの?
今日はおたくにどんだけサービス
せなあかんねん!?」
検査場のシャッターを締めた検査官に、
更に協力をお願いしました…。
「この車軽いな~!360ccやもんな~」
検査官もやはり車好き。
楽しそうに押して頂きました。
「色々と、ご協力有難うございました!」
なんとか積載車に積み込み、書類も出せて、
検査協会を出たのがもう5時でした。
もう、言い知れない充実感がありました。
もう、半分検査官に通してもらったような、
その車の車検。
毎日行っている馴染みの関係もありますが、
軽自動車検査協会は、年配の人情味のある
検査官が多いです。
私も毎日ここへ来るのが楽しかった。
皆様、ご存知ないと思いますが、
この時代のスズキのエンジンは、
2気筒、360ccで、オルタネーターは
なんとエンジンと一体物でした。
ベルトも無く、現在のように
別体ではありません。
そもそも発電量が低い。
アクセルを吹かしまくって、
ようやくライトが明るくなる感じ…。
原付スクーターのような感覚ですね。
PS .普通車の検査場は、
検査官になりたての若い人が多く、
頭も固い。
ちょっと年配の、上司のような
検査官と仲良くなるのがコツです…。